地中海地方での人類史上において、オリーブの木とその実は、常に生活に密着した重要な存在でした。聖書の中でだけでも、オリーブとオリーブの実についての記述が200件以上も記されています。古くには、オリーブオイルは食用としてだけではなく、薬用、宗教的な儀式にも使用されてきました。

オリーブの起源がどの場所であったかを確定するのは難しいのですが、シリアからギリシアの地中海沿岸地域ではないかといわれています。オリーブの栽培は、これらの海岸沿いの地域で今から6000年以上も前に始まり、この頃すでに、その実を食用とし、果汁を薬用として使用していました。

オリーブオイルのスペインにおける歴史の始まりは、フェニキア人の時代にまで遡ります。彼らがギリシア諸島からオリーブの木をスペイン沿岸地域に持ち込んだのは3000年以上も前のことです。オリーブオイルはローマ期には薬用として主に使われ、ギリシアの詩人ホメロスは、その素晴らしい効果を称えて、オリーブオイルのことを“滴る黄金 オロ・リキド”と詠い、ローマ人たちはその栽培を彼らの領地に次々と広げていったのです。

今日においてはガストロノミー史における重要な高級食材の一つとして世界的に重宝される一方、世界各国の研究所ではその計り知れない効果について日々、研究がなされています。オリーブオイルの素晴らしさは国境を越え、時代を超えて評価され続けているのです。

スペイン各地でのオリーブの木が描く背景は様々で、土壌や気候、その地における農業的な必要性により、その地に合ったオリーブの木が植えられていきました。現在、29の地域が原産地呼称を受け保護されており、オリーブ品種にして260種もあります。地中海沿岸地方およびスペインの食事の中心核でもあるオリーブオイルの需要は増える一方で、2013年のデータのよるとスペインにおけるオリーブオイルの年間生産量は2位のイタリアは294万トンを遥かに上回る787万トン。販売量もイタリアを抜き世界一に位置付けられ、100カ国もの国々でスペインのオリーブオイルが楽しまれているのです。